映画【アイリッシュマン】は「別格」扱い
ひとむかし前、「これが【Netflixオリジナル】で観られるのか」、と話題になったのもなつかしい。現在は、【Netflixオリジナル】だからこそ実現した企画という所まできている。2019年は、そうした根拠となる有名映画人参戦のメジャー作品が連発。その真打ちとなる、アイリッシュマンを深く掘り下げたい。
目次
- 映画【アイリッシュマン】は【Netflixオリジナル】に降臨したスコセッシアベンジャーズ
- 映画【アイリッシュマン】 作品概要
- 映画【アイリッシュマン】キャスト&キャラクター紹介
- 映画【アイリッシュマン】あらすじ・ネタバレ
- 映画【アイリッシュマン】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
- 映画【アイリッシュマン】 スコセッシのコメント
- 映画【アイリッシュマン】が【Netflixオリジナル】を変える
- まとめ
映画【アイリッシュマン】は【Netflixオリジナル】に降臨したスコセッシアベンジャーズ
・アイリッシュマン(Netflixオリジナル2019年11月配信)
スコセッシ映画としては、
グッドフェローズ、カジノに続くマフィア映画3部作。
デ・ニーロとタッグは22何年振りだし、
揃っているだけでも驚きなのに、
スコセッシとアル・パチーノが初顔合わせ。
アベンジャーズの2作品、
インフィニティウォー×エンドゲームを
圧縮した至れり尽くせりの超贅沢仕様。
また、実在した超大物のジミー・ホッファ失踪事件
をベースにした時代背景等々、
話題性には枚挙にいとまがない超大作。
あらすじ・ネタバレあり。
映画【アイリッシュマン】 作品概要
※画像の引用元:IMDb公式サイトより
(以下同様)
スタッフ
監督 マーティン・スコセッシ
映画【アイリッシュマン】キャスト&キャラクター紹介
メインキャスト
フランク・シーラン/ロバート・デ・ニーロ
メインキャスト3人のまわりの登場人物
ペギー・シーラン/アンナ・パキン
ドロレス・シーラン/マリン・アイルランド
メアリーアン・シーラン/ジェニファー・マッジ
コニー・シーラン/ジョーディン・ディナテイル
メアリー・シーラン/アレクサ・パラディノ
フィラデルフィアファミリー
アンジェロ・ブルーノ/ハーヴェイ・カイテル
フェリックス・ディトゥリオ/ボビー・カナべイル
アンソニー・トニー・プロ/スティーヴン・グレアム
映画【アイリッシュマン】あらすじ・ネタバレ
裏社会のボスに長年仕えてきた殺し屋フランクが、
秘密と暴力にまみれた自らの半生を振り返る。
マーティン・スコセッシ監督が贈る、
ギャング映画の新たな傑作。
(Netflixより)
スコセッシ映画のマフィア映画3部作、
をひとつながりとして観ると、
面白さの度合いは数段階ステージが上がる。
時代設定はどれも、
40年代〜80年代の間の実話ベースとなっており、
MCUほど顕著ではないが、
ユニバース(作品内でつながる)形式となっている。
つまり、
グッドフェローズでは下級マフィアに焦点を当てて描かれ、
カジノではそれら下級マフィアを司るボスという神を描いている。
しかも、この2作品では、
原作ニコラス・ピレッジ、監督 マーティン・スコセッシ、
脚本 ニコラス・ピレッジ、マーティン・スコセッシ。
主演にロバート・デ・ニーロ&ジョー・ペシという、
黄金カルテットを形成して、
制作された今なお伝説級の作品。
そして、今回のアイリッシュマンでは、
カジノでは神扱いであったさらにその上の存在、
マフィア界の天上人、
ドラゴンボールで言えば界王神界での界王神たちの戦いが描かれる。
スコセッシ組の古参である
ロバート・デ・ニーロ&ジョー・ペシを筆頭に、
実在した超大物のジミー・ホッファに、
アル・パチーノを配置した鉄壁布陣。
これをNetflix制作により、
自由に作れたのだから、
面白くないはずがない。
さらに、ひとつながりと言えば、
全てが一変するラストも印象的だ。
もしまだアイリッシュマンを未見であるならば、
これら3作品合わせてのイッキ見を推奨する。
尚、アイリッシュマン登場前までは、
スコセッシのギャングもの3部作は、
ミーン・ストリート、グッドフェローズ、カジノで完結していたので、
ミーン・ストリートもこれらコレクションに加えて欲しい
(個人的にオールタイムベストの1本という意味も込めて)。
映画【アイリッシュマン】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
「俺は家族を守ろうとして頑張ってきたんだ」
というフランク・シーランに対し、
娘のペギーから間髪入れずこう返される。
「一体何から?お父さんに相談してもロクなことにならなかった」
と返されるやりとりからの流れは、
グッドフェローズから連なる、
全てが一変するラストのアップデート。
また、
「どうしてあいつらは自分の墓穴をほったのかわからん」
というが台詞がフランク自身に、
降りかかってくる後半の恐ろしさに、
スコセッシの真骨頂・集大成をみた。
映画【アイリッシュマン】 スコセッシのコメント
アイリッシュマンは特典映像もNetflixで配信されているので、
こちらからも引用したい。
「監督・出演陣が語るアイリッシュマン」
でスコセッシが次のように語っている。
観る側に変革が起きているため、
制作に集中したと明かしている。
劇場公開用の尺に合わせて、
映画をむりやり切り刻むのではなく、
Netflixオリジナルと
この作品が生を受けたという事。
また、メインキャスト3人を20代半ば~50代に若返らせ、
CGによるメイクと語っているよ
こちらも大きな技術革新がされている。
今後も多用されるであろう、
最先端の映像技術が多額の費用をかけて、
(最終的な製作費の1億7500
使われている点も注目だ。
このように、
アル・パチーノを合流させつつ、
時代の最先端が詰まっている映画。
そして、
それを完全な形で見られる点において、
アイリッシュマンの凄さはスコセッシ映画の到達点。
映画【アイリッシュマン】が【Netflixオリジナル】を変える
映画人たちが業界内のあれこれに出来る限り縛られず、
作りたい物を作り、
実現する事ができる場として、
Netflixオリジナルというジャンルが確立し、機能を果たしている。
いち視聴者として、
そのようにして誕生した映画を観れるなんて。
これ以上の喜びはないのではないだろうかー。
今後も、他の多くの映画作家たちに、
この流れが続いて欲しい。
【Netflixオリジナル】が最強ジャンルになるという未来予想図は前回の特集を参照↓
まとめ
・映画【アイリッシュマン】は【Netflixオリジナル】に降臨したスコセッシアベンジャーズ
・映画【アイリッシュマン】 作品概要
・映画【アイリッシュマン】あらすじ・ネタバレ
・映画【アイリッシュマン】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
・映画【アイリッシュマン】 スコセッシのコメント
・映画【アイリッシュマン】が【Netflixオリジナル】を変える
スコセッシ映画のマフィア映画3部作、
をひとつながりとして観ると、
面白さの度合いは数段階ステージが上がる。
そして、
その前後の派生作品も欠かせない。
今回紹介した作品の
ブルーレイ・DVDは、
こちら↓
ミーン・ストリート(1973年)
極上のオープニングがこれでもか!
と物語っているように、
音楽と画面のしびれる連動具合、
独特の編集スタイル、
後のスコセッシ作品へとつながるキャスト達等の完成度。
これは、
英エンパイア誌が最高の米インディペンデント映画50本のうち、
1位に選ばれる評価の高さ。
そして、
映画本編は70年代らしく、
狂気のセンスをただよわせている、
はなれわざで魅せるスコセッシの自伝的作品。
特に音楽がヤバいのは、、、
1.有名過ぎるオープニング
The Ronettesの「Be My Baby」。
2.エキセントリック・クレイジー・キレキレ
ジョニー・ボーイ(ロバート・デ・ニーロ)の登場曲
The Rolling Stonesの「Jumpin' Jack Flash」。
赤いライトに照らされた店内に、
スローモーションで登場し
(音楽も合わせてスローになっている)、
まとう空気の違いから、
周囲にそれとわからせる脅威の存在感。
この作品のデ・ニーロを観て、
コッポラはゴッドファーザーPART2に、
デ・ニーロの起用を決めたという有名なエピソード。
3.ラストシーンのカーチェイスのバイオレンスを爆上げする
Creamの「Steppin' Out」。
正直、スコセッシの分身ともいえるチャーリーを演じる、
主演のハーヴェイ・カイテルは、
デ・ニーロに喰われてしまってる感は否めない。
けれども、本当に大好きな俳優。
ハーヴェイ・カイテル出演作の中でもお気に入り3作は、
(ミーン・ストリート 、スモーク、バッド・ルーテナント)
見逃せない。
グッドフェローズ(1990年)
実在のマフィアの告白本を元にした、
生きた50〜80年代の30年を圧縮。
スピーディな展開に合わせた、
圧倒的で多種多様で重要な役割を負っている、
音楽の存在感が際立つ革新的映画。
音楽の使い方の徹底度合いが底上げされており、
時代を考慮してその時点(もしくはそれより前)
でしか聞けなかったものに限定。
今では当たり前となった
映画内のシーンと歌詞をマッチさせている
元祖の作品というのはもっぱら有名。
それのそのはず、
撮影前の脚本時点で音楽を決めており、
音楽に合わせて編集もされている。
例えば、オープニングから使用される
ジミー(デ・ニーロ)のあるシーンでかかるLayla、
麻薬の象徴としてのストーンズの楽曲や、
ラストで鳴り響くMy Wayの使い方等、
以降の映画文法に与えた功績は図り知れない。
また、何を置いても、
音楽と同等もしくはそれ以上の存在感を放つ、
ジョー・ペシ扮するトミーだ。
一触即発の暴君で気性が荒く、
火のついた導火線を持ち合わせた忙しなさで、
映画内でトミーが登場するシーンでは、
緊張感が高まり続けて、
とどまる所を知らない。
マフィア映画史屈指の人気キャラクター。
特に、ナイトクラブでヘンリーに本気で絡む、
トミーのシーンは伝説的なアドリブが生んだ賜物。
カジノ(1995年)
直接なつながりではないが、
グッドフェローズの続編的立ち位置で、
アイリッシュマンにも関連する。
ラスベガスのカジノはジミー・ホッファ率いる
全米トラック運転手組合の
融資を受けて経営されている。
そのチームスターズ(全米トラック運転手組合)に代わって、
カジノ経営をするのが、
マフィアに雇われた凄腕のノミ屋、
実在の人物である、
フランク・レフティ・ローゼンタール。
映画では"エース"となっているが、
ロバート・デ・ニーロが演じている。
その幼馴染で用心棒にジョー・ペシ。
エースの妻役にシャロン・ストーン。
危険臭が漂い過ぎて、
何をしでかすかわからない、
危ない顔ぶれが揃っている。
オープニングから文字通りぶっ飛んでる映画で、
原作者ニコラス・ピレッジいわく、
カジノの登場人物はいずれも生まれつき、
かたぎの道には無縁の人間。
そんな人間達が繰り広げる、
波乱に満ちた物語が画面を占拠し、
観る物を飽きさせない矢継ぎ早な編集で、
グッドフェローズより長い177分間はあっという間。
ヒート(1995年)
男たちの生き様をまざまざと描いた美学と、
再生を始めると、
アイリッシュマン(2019年)
即買いするので、
アイリッシュマンも配信とは別に、
DVD・ブルーレイを発売して欲しい。
現時点では、まだソフト化されてないので、
原作とサントラは必携。
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