イタリアの名手が撮るメキシコ麻薬戦争続編
スタッフは脚本テイラー・シェリダン以外入れ替わり。監督ステファノ・ソッリマ、撮影ダリウス・ウォルスキー、音楽ヒドゥル・グドナドッティル。このアンサンブルが交差する時、信じられない生々しい描写が連続する。緊張感は振り切れマックス、前作とは異なるテイストだが(むしろこっちのが好き)、圧倒的な続編となっている。
また、後半はついにソフト化されたステファノ・ソッリマが監督したバスターズの特集。
目次
- 【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】を「より楽しむ」ための前作までのまとめ
- 【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】 作品概要
- 【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】 あらすじ・ネタバレ
- 【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】 キャラクター紹介
- 【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
- 【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】の監督ステファノ・ソッリマが2012年に監督した【バスターズ】について
- 【バスターズ】 作品概要
- 【バスターズ】あらすじ・ネタバレなし
- 【バスターズ】キャラクター紹介
- まとめ
【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】を「より楽しむ」ための前作までのまとめ
ボーダーライン(2015年)
※画像の引用元:IMDb公式サイトより
(以下同様)
前作の監督である、
ドゥニ・ヴィルヌーブ による、
ドゥニ・ヴィルヌーブ の最高傑作であり、
そしてドゥニ・ヴィルヌーブ らしい
特殊構造を持った映画。
暗黒街(2015年)
本作の監督に大抜擢された、
イタリアで撮った「暗黒街」は、
イタリアン・フィルム・ノワールの
新たなる大傑作!注目。
本作でも脚本を続投の、
テイラー・シェリダンについて。
BOUND9 バウンド9(2011年)
原題:Vile
テイラー・シェリダンの初監督作品。
この作品のちょっと前に流行ったソウ、
ホステル路線の実験監禁系のデスゲームもの。
監禁された者同士の痛みをチャージして、
設定されたゲージを貯めきると解放される。
設定はありがちだが、シェリダンらしさは、
完全な密室という辺境感。
この状況下で追い込まれた、
9人の人間性の破壊と痛みの描写を容赦なく、
スローモーションと音楽の使い方によって、
エモーショナルに魅せつける。
万人にはオススメしないが、シェリダン好きは是非!
最後の追跡(2016年)
原題: Hell or High Water
ボーダーラインを手掛け、
今をときめく脚本家となった、
そして彼らを追う、
引退間近のテキサス・レンジャー
(ジェフ・ブリッジス)。
ウインド・リバー(2017年)
原題: Wind River
テイラー・シェリダン作品共通の、
米の辺境シリーズ3部作
厳寒地獄のスノーノワール。
これでもうボーダーライン、
最後の追跡の脚本の人とか、
言われない。
と記憶される
代表作に仕上がった。
2018年の酷暑だった公開に相応しく、
これこそ心身共に効く、
−30℃の世界感を味わうには、
冷房効き過ぎでの鑑賞がちょうどいい。
元々劇場鑑賞で観れる所が
少なかったし、
DVD・ブルーレイはマストバイだ!
最後の追跡も即買いするので、
DVD・ブルーレイを発売して欲しい!
【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】 作品概要
原題 Sicario: Day of the Soldado
製作 2018年
製作国 アメリカ
スタッフ
監督 ステファノ・ソッリマ
製作 ベイジル・イバニク
エドワード・L・マクドネル
モリー・スミス
サッド・ラッキンビル
トレント・ラッキンビル
脚本 テイラー・シェリダン
撮影 ダリウス・ウォルスキー
音楽 ヒドゥル・グドナドッティル
キャスト
・アレハンドロ/ベニチオ・デル・トロ
・マット・グレイヴァー/ジョシュ・ブローリン
・イザベラ・モナ/イザベル・レイエス
・マシュー・モディーン/ジェームズ・ライリー
・キャサリン・キーナー/シンシア・フォード
・ジェフリー・ドノバン/スティーヴ・フォーシング
・イライジャ・ロドリゲス/ミゲル・エルナンデス
・マヌエル・ガルシア=ルルフォ/ギャロ
・デビッド・カスタニーダ/ヘクター
他
【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】 あらすじ・ネタバレ
テキサス州のアメリカ・メキシコの国境。メキシコの麻薬カルテルの収入源は麻薬だけでなく、密入国者からの手数料も大きな割
レイエス・
イサベル誘拐護送中、マットのチームはレイエス・
ミゲルは拘束された
物語の舞台は1年後。身体中にタトゥーだらけとなって容姿が変貌したミゲルはフードコートで働いていた。アレハンドロは、自分を撃っ
(そう、ゴッドファーザーのエンディングのようにー。)
(ゴッドファーザー(1972年)のエンディング)
The Godfather 1 - Michael and Kay, final scene
【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】 キャラクター紹介
アレハンドロ・ギリック
コロンビア人で元検事。
正体は復讐の鬼と化す暗殺者。
かつて、麻薬カルテルである
ソノラ・カルテルにより、
妻と子を殺されている。
マットと共に動いているが、
国家の命により動くマットとは違って、
アレハンドロを突き動かしている私怨のみ。
前作とは異なり、
今回イザベルを娘と重ねる
人情味が見られた。
キャスト:ベニチオ・デル・トロ
マット・グレイヴァー
旧知のアレハンドロと共に協力体制の元、
メキシコ麻薬特別大作チームのリーダー。
超法規的行動をとれる権限をもつ
CIA特別捜査官。
キャスト:ジョシュ・ブローリン
イザベル・レイエス
今回、事情を良く知らされず、
巻き込まれる立場の女性となる。
末娘である16歳の少女。
アレハンドロの家族を殺した
麻薬組織の長の娘で、
今回の作戦のために
マットたちに拉致される。
キャスト:イザベラ・モナ
ジェームズ・ライリー
アメリカ国防長官。
キャスト:マシュー・モディーン(写真:中央)
シンシア・フォード
CIA副長官で、マットの上官。
キャスト:キャサリン・キーナー(写真:女性)
スティーヴ・フォーシング
マットの同僚で、特殊任務を共にする。
アレハンドロ、マットと共に前作からの
続投キャラクター。
今回は大幅に出演時間が多くなった。
キャスト:ジェフリー・ドノバン
ミゲル・エルナンデス
ヘクターの誘いでカルテルの世界に
足を踏み入れた14歳の少年。
キャスト:イライジャ・ロドリゲス(写真:右)
ヘクター(写真:左)
ガヨを慕っているミゲルの従兄弟。
デビッド・カスタニーダ
ガヨ
マタモロス・
マヌエル・ガルシア=ルルフォ
【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
ステファノ・ソッリマとテイラー・シェリダン の最高傑作
前作は特殊構造を持つ
アート寄りの映画だったのに対し、
今回は対照的。
ステファノ・ソッリマらしく、
最初から最後まで正面衝突の
パワーゲームによるバイオレンス描写。
現実に起こっている様を
反映させた描写の数々は、
想像以上だった。
続編の恩恵を最大限に発揮
前作をリスペクトしつつ、
登場するキャラクターの素性が暴かれた世界で、
繰り広げられることが可能となり、
最初から最後まで全力投球による世界観。
若い2人のイニシエーションをからませた、
キャラクターの成長に楽しみを見いだせる
見事な創造性、
脚本への力の入れようが大変素晴らしい。
正義と悪の境界線のぐらつきはもはや計測不可能
本作のテーマでもある、
境界線の描き方は、
持ち味を最大限発揮している。
特に、アレハンドロが手話で、
口のきけない夫婦と子供について、
話すシーンが印象的。
アレハンドロが良き父親だったことを思わせ、
彼が抱える過去の痛みが垣間見えた。
暗殺者でありながら、
任務の遂行と少女の命を天秤にかけ、
人間としての良心を表現する、
葛藤と決断は印象的だった。
一方、その場面と対比させながら、
描かれるアメリカ政府からの
一方的な作戦の中止と2人の粛正命令。
もっとも人間味がなく冷血なのは、
あっさりと人を切り捨てる政府側である、
そんなメッセージも込められている
ように感じた。
気になるサントラについてのあれこれ
本作の監督が、
ドゥニ・ヴィルヌーブから、
安堵と共に受け渡されたように。
スコア担当のヨハン・ヨハンソンが
亡くなってしまい、
ヒドゥル・グドナドッティルという、
愛弟子へ継承されている。
これが前作を見事に、
(いやむしろそれ以上かもしれない)、
作品世界を体現し、
より一層ダークに、ディープに、
研ぎすまされた音の表現を持たせている。
リスペクトのたまもの。
そして最後に鳴り響くThe Beast
このシーンはついては、
いつ・どこで・何度観ても、
しびれるばかり。
3部作最終章完結編ではどうなる
未回収となっている
ピースがどのように
ハマってくるのか。
最終的にどのように、
ボーダーラインが引かれ、
若い2人はどこまで成長し、
シカリオの復讐の連鎖に
終わりは訪れるのか。
地獄のスパイラル最前線への興味は、
つきる事はない。
【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】の監督ステファノ・ソッリマが2012年に監督した【バスターズ】について
見逃せない必見作
の原点
危険な現場の最前線で活躍する
イタリア国家機動隊の警官たち。
危険の最前線に身を置きながら、
市民からは目の敵にされている。
それでも職務を全うしようとする
機動隊員たちを、
正義や正しさの境界線がぐらつく
心理描写を交えながら描く。
3冠に輝いたポリスアクション。
イタリアのアカデミー賞に相当する、
6部門ノミネート。
ついにソフトも解禁
された本作の見所
・次第にエスカレートする隊員達のぐらつく善悪の是非の心理描写
・映画祭で3冠に輝いたリアルポリスアクション
・それぞれ問題を抱えながらも支え合う個性的なキャラクターたち
これらを最大限に
盛り上げる
音楽にも注目
オープニングで
White StripesのSeven Nation Army
から始まり、
エンディングが
KasabianのClub Foot
で締めるまで。
手垢のつきまくっている
アゲアゲのキラーチェーンだが、
あえてふんだんに使ったこのセンス、、、
イイと思う!!
他にもこれら↓
の曲がたたみ掛けるよう
に流れる!!
"New Dawn Fades" by Joy Division
"Snow" by The Chemical Brother
"Police On My Back" by The Clash
"Where Is My Mind?" by Pixies
【バスターズ】 作品概要
原題 A.C.A.B.: All Cops Are Bastards
バスターズの原題は ACAB。
All Cops Are Bastards (すべての警官はクソ!!!)
製作 2012年
製作国 イタリア
キャスト
【バスターズ】あらすじ・ネタバレなし
仲間思いの凄腕隊員コブラは、
市民に対する過剰防衛で裁判にかけられる。
リーダーのマジンガは極右組織に
出入りする息子に悩んでいた。
熱血漢のネグロは、
職務に夢中になりすぎて、
妻に家を追い出されるなど、
それぞれ問題を抱えていた。
また、カルレットは元機動隊員で、
何か問題があれば、
3人の手助けをしていた。
新人隊員のアドリアーノは、
入隊当初は問題を起こしてばかりだが、
先輩たちの手厚く歓迎をされていくうちに、
徐々に隊員の一員として成長していく。
そんなある日、
暴動の最中にリーダーのマジンガが、
重症を負ったことをきっかけに、
隊員たちは自ら犯人探しに乗り出す。
本来の職務を逸脱した行為は、
やがて暴走を始め、
とんでもない事態を
引き起こすことになる・・・。
【バスターズ】キャラクター紹介
イタリア国家警察機動隊
仲間のプライバシーの問題解決や新人教育にも余念がない。
仲間思いの凄腕隊員だが、
行き過ぎた捜査などで暴力沙汰になることもしばしば。
キャスト:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
(暗黒街でフィリッポ・マルグラーディ(与党の大物議員)を演じた俳優)
ネグロ
考える前に手が出るタイプの熱血隊員。
家庭でもトラブル続きで、
妻ミリアムに離婚を迫られ、
娘カロリーナと別居を余儀なくされる。
キャスト:フィリッポ・ニグロ
マジンガ
機動隊のリーダー。
マリアと共に、
(マリア:マジンガの妻。キャスト:ロバータ・スパーニューオロ)
息子ジャンカルロに手を焼いている。
キャスト:マルコ・ジャリーニ
カルレット
元機動隊員。
ゾーンダイエット(タンパク質:脂質:炭水化物=40:30:30)
にはげんで、マジンガと張り合っている。
キャスト:アンドレア・サルトレッティ
言う事を聞かない生意気な新人隊員。
母と暮らす家から強制退去を迫られイラついている。
キャスト:ドメニコ・ディエーレ
PS 企画中の「コール オブ デューティ」シリーズの映画化について
まとめ
・【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】を「より楽しむ」ための前作までのまとめ
・【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】 作品概要
・【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】 あらすじ・ネタバレ
・【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】 キャラクター紹介
・【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】名場面ハイライト(評価・解説・考察)
・【ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ】の監督ステファノ・ソッリマが2012年に監督した【バスターズ】について
・【バスターズ】 作品概要
・【バスターズ】あらすじ・ネタバレなし
・【バスターズ】キャラクター紹介
今回紹介した作品の
ブルーレイ・サウンドトラック
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・ボーダーライン(2015年)
・暗黒街(2015年)
・BOUND9 バウンド9(2011年)
・ウインド・リバー(2017年)
・ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年)
サウンドトラック
・バスターズ(2012年)
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